Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「戦場でワルツを」―虐殺加害者のトラウマと記憶を探す心の旅
二通 諭
1
1札幌学院大学人文学部人間科学科
pp.401
発行日 2010年4月10日
Published Date 2010/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101757
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ナチスによるユダヤ人大量虐殺という記憶はユダヤ人にとって未だに鮮明なはずだ.そうでありながら,なぜユダヤ人国家であるイスラエルは戦争と虐殺を繰り返すのか.この矛盾に悩み,傷ついている人はいないのだろうかと久しく疑問であった.やはりというべきか,イスラエル政府機関の調査では,国民の8割が,世界で「ひどい」と思われている,9割が「攻撃的な国」だと思われていると回答.そんなイスラエル国民の自己意識の土壌からぬっと突き出てきたのが「戦場でワルツを」(監督/アリ・フォルマン)である.
本作は,監督自身の体験をアニメーションで描いたものであり,アニメーション・ドキュメンタリーと称している.
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