世界の波
アメリカの金貸し金しばりの政策—「赤だ」のレツテルの下に亡びた国……
末松 満
pp.47-48
発行日 1954年8月10日
Published Date 1954/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200790
- 有料閲覧
- 文献概要
他人さまの娘を預りながら,これを牛馬か奴れいのようにコキ使い,「あんまり沒義非道だ」と忠告されると,その忠告者のことを「あいつは赤だ」「共産主義者だ」と言いふらし,自分の罪惡をごま化そうとした近江絹糸紡績の夏川とかいう社長……この話は新聞ラジオによつて充分ご承知のことであろう.しかし,いかほど惡智惠が発達していても,たかが町工場のおやじであつては,やがて化けの皮をひんむかれ,今では夏川の赤呼ばわりは物笑いの種子としか聞えなくなったが,実力と信用のある大ものが「あいつは赤だ」と叫びはじめると,一般世人が,つい「おやそうかしら」と思いこんでしまうものである.
中米の独立共和国ガテマラが,「赤だ」「共産国だ」との折紙をつけられ,6月中旬から征伐されはじめたのは,どうもその一例のように思われる.
Copyright © 1954, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.