特集 結核問題の展望
結核の医療費
五十嵐 義明
1
1厚生省保険局医療課
pp.29-35
発行日 1954年5月10日
Published Date 1954/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200732
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1.まえがき
結核の治療にどれ位の費用が必要であるかは,病気の軽重,利用する医療施設の種類,あるいは費用の負担方法として各種の医療保障制度をどのように利用するか,というような種々の条件によつて異つた数値がでてきます.
しかしここには,わが国の結核治療に最も大きな役割を果している健康保険の乙地(6大都市やその他若干の大都市は甲地で1点単価12円50錢,その他の地域は乙地で1点単価11円50錢)の診療報酬を基準にして,結核の治療に関する費用の概算を述べることにしましよう.というのは,昭和27年3月末の調査によると,わが国結核病床の36%を占める国立療養所の結核患者の費用負担方法別の百分率は,46%が各種社会保険,39%が生活保護法による医療扶助,7%がその他の社会保障制度,7%が自費,不明が1%となつており健康保険で医療を受ける人々は被保険者とその被扶養者を合せ約2,250万人にものぼるからであります.
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