講座
虫齒の成因と豫防
大西 栄藏
pp.13-20
発行日 1953年11月10日
Published Date 1953/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200623
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野生の動物には齲歯はない.人類においては洪積期時代の人類には齲歯は無かつたようであるが,新石器時代において始めてみとめられている。我が国に於ても新石器時代の頭蓋骨には既に齲歯が発見せられている.從つて人類の齲歯はかなり古くからあつたがその数は極めて少なかつたのである.それが今のように広く人類に蔓延して来たのは最近100年以内のことだといわれている.
このように古代から今日迄の齲歯発生の歴史は文化の発達,即ち生活の樣式並びに環境の変遷とともに漸次その率を高め,近代文化の急激な発達が現代の如き多数の齲歯罹患状況を現出したと考えられるのである
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