論述
性病豫防に就て
土肥 淳一郎
1
1東京慈恵會醫科大學皮膚科
pp.222-225
発行日 1946年12月25日
Published Date 1946/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200079
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
戰爭と性病とが離れ難い關係に有る事は衆知の事實であり,特くに第一次歐洲大戰に於ける性病の蔓延に對しては,各國共之が對策に腐心した所であつて,之に就では原田彰博士が先年「體性」誌上に詳細に述べておられる。一人我國が今囘の戰爭に於てのみ此の事實の外に超然たり得る譯が無く從つて性病豫防對策が重要な問題となつて來る事は言を待たぬ所である。さて此處で性病豫防の眼目とする所は何であるかを考へて見やう。其一つは治療即ち性病罹患者の總てに對して完全な治療を行ふ事であり,今一つは豫防即ち健康者を性病より守り,新患者の發生を豫防する事に依つて國民の健康を保持し社會の福利増進を圖る事にあるが,而も豫防の方法,豫防に對する心構へが從來の如く不徹底,微温的である事は斷然許されない。
Copyright © 1946, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.