論述
レントゲン傷害の豫防について
岡西 順二郎
1
1東京都立港保健所
pp.35-38
発行日 1948年5月25日
Published Date 1948/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200293
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肺結核の早期發見にあたつては,レントゲン檢査がその主軸をなすことは申すまでもない。これがために,醫員,レントゲン技術者が多數の人々のレントゲン檢査を擔當し,毎日レントゲン傷害の危險にさらされながら,しかもこの問題について充分の關心をもたないことは,非常になげかわしいとともに,恐ろしい氣がする。間接撮影法の進歩につれて,レントゲン檢査をする對象が從前の數十倍,數百倍にのぼり,それとともに,間接撮影の介補をする保健婦が,レントゲン傷害の犠牲者として新しく登場して來た。眼に見えないレントゲン線が,無防備の彼等の全身に放射して,彼等の肉體を刻々とおかして行くのも知らず,保健婦たちは被檢者のからだをおさえたり,螢光板の位置をなおしたり,番號の入れかえをしているのである。そして,300人400人の檢査を終ると,全身綿のように疲れはてながら,殘務整理をするのである。保健婦にくらべると,レントゲン技術者の受けるレントゲン線量は,その位置的關係から,保健婦よりははるかに少い。間接撮影像の判讀する醫師は,その危害を受けることはないが,異常所見のある者を透視するため,やはり相當ひどい危險を覺悟しなくてはならない。とくに透視をていねいにやるほど,その害がはなはだしい。
職業的に毎日レントゲン照射を受けるものは,一體どのくらいの量までたえられるのであろうか。これについては多くの意見があるが,1日0.1rを限界とする。
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