講座
座談会のやり方
石垣 純二
pp.31-35
発行日 1953年11月10日
Published Date 1953/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200627
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座談会の目的
座談会は何のためにやるのか.この点に誤解があつてはならない.座談会は幾人かの立場がちがい意見のちがう人間が集つて,そのテーマについて自由に話合うことによつて,意見の相違がより一そう明瞭になるために行われるのである.話合つた結果,穏健妥当なところに結論がでてくれば,もちろん有難い.けれども,必ずしも,そうした結論に達しなくても少しもかまわない.
ある1つの意見とか主張とかいうものは,それに反対するものがあつてこそ成長し,発展するものだ.それはちようど,黒色は黄色の地の上におかれた時に一ばん目だつようなものだ.イギリス辺りで,民主々義とは,少数反対意見の尊重だと言われるのは,こゝのところをしつかり理解しているからであろう.反対意見のない主張や意見は,もう行きづまりである.それ以上のびる余地はない.ワンマン制度の欠点がこゝにある.独裁とか専制とかいうものには進歩がない.
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