主張
精神的障害
pp.1
発行日 1953年11月10日
Published Date 1953/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200620
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こんな話をきいた.日本に長く住んで仕事をしている或米人家族の1人息子が,或時,お父さんと散歩の途中,道のほとりで突然前のボタンをはずして雨を降らせたのをみてお父さんはびつくり,子供を叱り,その行儀の惡さをたしなめたところ,子供はけげんそうな顔で見上げ「だつてお父さん,僕達の仲良しの○○さんは,お父さんがいつも立派な日本人だ,あの人のようにならなくてはいけないつていつたじやないの?」と答えたそうである.
道を歩いていると,立派な服装をした紳士が,アツという間もなく,前をあけて用をたしている.文化国だか東洋の盟主だかしらないがどこかを向いて泣いているであろう.この惡い習慣は,凡そ日本の男の人だけの独得のもののようである,一向に無意識のうちに実施されているものらしい.露出症という精神病があるけれど,それと紙一重じやないだろうか? そしてこれも一種の精神的障碍なのではなかろうか.
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