精神発達障害児に対する眼科的管理

Ophthalmic care of mentally retarded infants and children

　精神発達障害児343名を対象とし，従来より多く合併するとされている屈折異常，眼位異常を中心に眼科的管理について検討した。対象に含まれている基礎疾患は脳性麻痺が最も多く，髄膜炎または脳炎後遺症，先天性水頭症，小頭症，頭蓋内出血後遺症，Down症候群，その他種々の先天疾患である。屈折異常はこれらの症例の79.3％にみられ，その中の約70％，206名に眼鏡を処方した。実際に眼鏡を装用したのは，さらにその70％に相当する145名で，この中，視力の改善があったと思われるものは57名で，実際に眼鏡を装用したものの39.3％であった。一方，眼位異常は63.7％に認められ，その中の約1／3が手術施行例およびその予定者である。眼位異常者に弱視訓練，視能矯正を行った結果，共に，その中の約50％に効果を認めた。これらの効果判定には，日常生活の観察とVECP検査によるところが大きかった。

　今回の結果より，残存して埋もれている視機能をわずかでも伸ばす意味で，早期より眼鏡装用，弱視訓練，視能矯正を試みるべきと考え，今後も努力して行く予定である。

We evaluated refractive errors and strabismus in 343 cases of mentally retarded infants and children. They were suffering from cerebral palsy, which was the most frequent underlying disorder, followed by sequealae of meningitis or encephalitis, congenital hydrocephalus, microcephalus, sequealae of intra-cranial hemorrhage, Down syndrome, develop-mental delay and others. Refractive errors were present in 79.3% of the cases and adequate spec-tacles were prescribed to 70% of them. The spec-tacles could be tolerated by 70%, of which 28% showed improvement in visual acuity.