特集 母性保健指導のポイント
妊婦の精神衛生—身体的、精神的、社会的な理解を
村松 功雄
1,2
1相模女子大学
2昭和女子大学
pp.18-20
発行日 1963年5月10日
Published Date 1963/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202828
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まえがき
夫婦はだれでも健全な家庭をつくりたいという要求をもち,また,妊婦は立派な賢い子供を出産し,育てようという要求をもっている.いずれも,家族の健康とか幸福に関係のあることで,前者の要求を満たすための指導が家族計画であるならば,後者のそれは妊婦の保健指導にあたる.われわれ妊婦に接するものとして,妊婦をどのような態度で指導してきたであろうか.われわれは妊婦の身体的条件,すなわち産科的適応条件にあまりにもとらわれすぎ,妊婦のもつ心理的な条件やその背後にある家庭的・社会的な条件を忘れていなかったであろうか.
妊婦が妊娠を持続し,健康な児の出産を願うならば,その産科的適応条件はもとより,精神衛生的適応条件—心理的・社会的条件—をも身につけておることがのぞましい.これはなにを指すかというと,およそつぎのごときことがあげられる.
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