8．精神心理的な問題―血液透析患者における大うつ病性障害の支持的精神療法

精神科領域における支持療法とは「支持的精神療法」を指す．支持的精神療法は不安や緊張，恐怖などの症状を軽減させることを目的とした対症療法・保存的療法である．大うつ病性障害は透析患者に高頻度に起こりうる合併症である．すべての患者を専門医療につなげることは不可能で，大半を占める軽症例には透析医療従事者が介入せざるをえない．その際の基礎的介入として，日本うつ病学会のガイドラインでは支持的精神療法が推奨されている．支持的精神療法は容易に試行可能で，それだけで十分な改善が得られることも多い．透析医療従事者には，質の高い透析医療を提供し続けながら，支持的精神療法による積極的介入が望まれる．