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シクラメンの花に寄せて
山室 民子
1
1社会教育施設課
pp.32-33
発行日 1953年4月10日
Published Date 1953/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200491
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私は花屋の前を通るのが好きです，わけても冬の，私の身辺に花の乏しい季節に花屋の前に来ると，眼のまえが急に明るく，また心がやさしく暖められるのを感じ，寒風の中にあつて，春への，ほのぼのとした希望を喚びおこします．
思わず惹き寄せられるように店に入つて，1束の花を買うこともあります．しかし私のように用事をもつて始終あちらこちら歩き廻るものにとつては，美しく脆い花を抱えることは不便で，つい看過して通ることもあります．私の蟇口がひどく軽く，心残して通り過ぎることもあります．
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