講座 2頁の知識
国保の現況
岡田 達雄
pp.12-13
発行日 1952年5月10日
Published Date 1952/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200274
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国保--正式には国民健康保険というのですが--は,簡単にいえば,市町村の住民が力を合わせて病気にかかつた人人の医療費の負担を少しでも軽くするため,又自分が病気にかかつた場合にも容易に医者に診察して貰つて軽いうちに病気をなおすことができるように設けられた制度であります。国保が誕生したのは昭和13年のことでありますから,もうかれこれ15年近くになります。国保が実施された当初は国保組合がこの事業を行つていたのですが,終戦直後のインフレーシヨンのために国民にとつて最も必要な制度でありながら,組合自体の財政が破綻し,全国殆んどの市町村にあつた組合の半数以上が事業を休廃止するようになりました。そのため昭和23年に法律の改正が行われ,国保は主として市町村自体が事業を行うように改められました。
現在,国保が実施されている市町村は約五千,大体全市町村の半数程度で,そのうち,市町村自体が行つているところは全体の91%,従来の国保組合が5%,社団法人--主として農業協国組合--が行つているものが4%という割合になつております。国保は他の社会保険と異り,市町村の区域単位に設けられるものでありますが,ただ国保組合の中には普通組合と特別組合とがあり,特別組合は市町村の区坂に制約されることなく,同一の職業又は業務に従事する人々及びその世帶内にある人々で構成されている組合で,地域に重点を置く国保にとつては特別な存在であります。
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