特集 社会医学
けい肺の社会医学的調査について
首藤 友彦
1
1日本福祉大学
pp.613-616
発行日 1960年11月15日
Published Date 1960/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202337
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I.はじめに
けい肺は職業病のうちでも最も古くから注目されてきたもので疾病の特質上からも多くの国々においてこれに対する特別保護の法制を有するものも少くない。我が国においても昭和5年以来坑夫労役扶助規則により,戦後は労働基準法制定後において「業務上の疾病として,それぞれ災害扶助,災害補償の対象とされ一定の保護措置がとられてきた。」しかしけい肺が現在の医学のもとにおいても根本的に治癒回復させることが困難な疾病であることから国家的の保護が要望され昭和30年7月けい肺等特別保護法が制定になり,つづいて臨時措置法が施行になつた。さらに昭和35年4月から労災保険法の改正と共にけい肺のみならず鉱物性粉じんによるじん肺に拡大したじん肺法が制定施行になり労働者保護上画期的な発展をとげたのであつた。
しかしこれらの立法が施行されても実際にけい肺に罹患した労働者がどのように補償をうけているかという現状についての調査研究は少い。私は社会福祉の立場からこの点について若干の調査を行つたのでその結果について報告し,併せてけい肺の補償について私見をのべることにする。
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