原著
妊婦結核と榮養
柚木 祥三郞
1
1東京女子醫科大學
pp.387-389
発行日 1950年10月10日
Published Date 1950/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200392
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統計上春から夏にかけて腫々の病氣の發生率が多いことは周知のことである。特に結核性病の發病が多い。同樣に妊婦に於ても春から夏にかけて結核の發病率が高い。これには種々の原因があるであろうと思われる。例えば結核性の病氣の發病が多いのは,冬季の蟄居生活の間に結核に感染する機會が多く,春になつてこれが發病して來ることが多いと思われる。マントー反應が陽轉して後1年間,殊に最初の數ヵ月乃至半年間に發病の多いことは統計の示す所である。又性病等は春になつて感染する機會が多いことは當然である。勿論消化器傳染病等は夏から秋にかけて多いことは,夫々季節的の原因がある故である。これ等の季節的に發病率が高くなる原因には種々の要素があるから,それ等を分解して研究する必要がある。私が茲に述べたいのは,先づ主として結核,特に妊婦の結核が春から夏にかけて發病率が高いことと,婦人(妊婦)の榮養の季節的變動との間に何等かの關連があるか否かに就いて考えてみたいことである。秋には馬が肥えるという如く榮養には季節的の變動があるのではないか,又其の原因は何等か,從つて病氣の治療にも亦考えねばならぬ榮養の問題は多々あることと思われる。
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