原著
榮養調査と國民榮養状況
大礒 敏雄
pp.21-36
発行日 1946年10月25日
Published Date 1946/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200041
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
榮養調査の意義
國民の榮養状態を適確に把むと云ふことは,色々な意味に於て非常に大切なことである。それは唯に保健上の問題のみに止らず,生活の諸相をも窺ひ知ることが出來るからで,此の正確な實状把握の上に種々な社會的施策が打ち樹てらる可きが當然であつて,特に榮養の指導,改善は之を土臺として方向が決定されるのでなくてはならぬこと勿論である。
而して此の土臺となる可き國民の榮養状態を知るには,一般國民を對象とした廣汎な榮養調査が必要となる。而も此の調査は前に述べた如く,直ちに施策の立案の基礙として活用されることがその本旨であるから,單に記録に留め置く程度の調査とは其の趣を異にして居ることが特徴となるのである。即ち,調査は正確且つ迅速に行はれ,其の結果は直ちに算出せれて,一刻も速く利用に供されると云ふのが其の建て前であるから,集計に多大の時日を要する如き因子は何れにしても取り除かねばならぬ。此の目的の爲めに,榮養調査にあつては,或る程度の嚴密さは犠牲にされるのも致し方ない。一方此の反面速度は飽く迄も尊重せられる。此の故に,調査に當つては,簡易化,迅速化が目標とされる。勿論此の目標内に於て可能なる限り正確さが要求されるのは之又當然である。
Copyright © 1946, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.