発行日 1946年12月15日
Published Date 1946/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906155
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人間の體は大きな機械の樣に作用するものである。われわれは毎日食べて居る食物で以つて生存し,生長發育し,且體組織を再生して居るのである。適當な榮養をとらずしてはわゆわれの體は限られた期間以上生存し得るものではなく,又適當な榮養がとられなけれぱ人間の體は效率的に活動し得ないのである。即ち,精神的肉體的能力は次第に害はれ,普通に出來る程度の仕事を滿足になしとげる能力をさへ失ふに至るのである。
榮養と云ふ言葉は「身體の發育,保持,再生を適切に保つようにするための科學」であると定義することが出來る。適切な榮養を保つようにするためには,食物自身について識ると共に其の食物か如何に構成せられて居るかと云ふことを識つてゐる必要があるのである。食物が異れば含有する要素も異る。或る食物は一定の食品成分を多く,或るものは少く有するのである。人體を養ふものとしての食物の價値は各食物中に含まれた各種の要素の量に依り決定せられ,人間の消耗にとりどの食物が非常に重要であるかを判定するためには食物の組成を理解する必要がある。これが食餌學と云はれてゐるところのものである。
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