連載 現場で使える調査法・6
調査研究における倫理
西田 茂樹
1
1国立保健医療科学院人材育成部
pp.990-993
発行日 2003年10月1日
Published Date 2003/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662100187
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プライバシー保護は基本
今回は調査における倫理の問題についてお話したいと思います。調査における倫理において最初に押さえるべきことは,調査によって対象者に身体的あるいは精神的に危害を加えないか否かという点です。言うまでもなく,危害を与えないことが原則です。
保健所などの行政機関が,行政に役立てるために実施する調査では,おそらくこのような危害を加える事態は想定し難いのですが,いわゆる研究機関や病院などで実施される研究には,対象者に何らかの健康被害を与える可能性をもっているものもあります。このような調査研究を実施してはいけないわけではありません。いわゆる調査研究への対象者の参加についてのインフォームド・コンセント…調査研究に協力を依頼される人が,調査研究の意義や協力した場合に本人に発生しうる益と害およびそのリスクについて十分な説明を受け,かつ理解したうえで対象者となることを承諾すること…があることが前提ですが,このような場合には調査研究から得られる益と対象者が被るかもしれない害を天秤にかけて判断されます。
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