特集 検証「SARS」
SARSと検疫体制
丸山 浩
1
,
片山 友子
1
1関西国際空港検疫所
pp.861-864
発行日 2003年11月1日
Published Date 2003/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100968
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世界中を震撼させたSARSはWHOの「制圧宣言」で,一応の終息をみた.しかしながら,冬季における再発の可能性が指摘される中で,有効な治療薬・予防薬の開発ができていないなど多くの課題が残され,予断を許さない状況は続いている.
今回は,幸いにもわが国においてSARSの流行は起こらなかったが,これを単に「幸甚」と片付けてしまうのは軽佻浮薄の謗りを免れないであろう.やはり,健康教育を含むわが国の公衆衛生システムが上手く機能していたということを評価することも必要ではないだろうか.一方で,これらのシステムの様々な問題点や課題も浮き彫りになったことも事実である.
本稿では,その現場に身を置いた一人として,これまでの検疫所としての取り組みと今後に向けた課題などについて述べてみたい.なお,意見にわたる部分は私見であることを予めお断りしておく.
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