連載 立川らく朝のヘルシートークウラ噺・16
木瓜の花(二)
立川 らく朝
1,2
1表参道福澤クリニック
2メディカルサポート研究所
pp.382-383
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662100070
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病気には治る病気もあれば、治らないものもある。治らない病気であれば、これは一生付き合っていかなくてはならない。決して回復することがないのを承知で、それでも病気と付き合わなければならないなんて、こんな辛いことはないだろう。本人が辛いのは当然だが、周囲も辛い。主治医だって本当は辛い。しかし、辛い辛いといっていると、みんな暗くなる。暗くなって良いことはないと、知ってはいてもやっぱり暗くなる。
以前、素人時代のことだが、ある大学病院のスタッフから病院で落語をやってほしいと頼まれた。「癌性疼痛研究会」という、すこぶる堅い名称の団体からの依頼だった。「癌性疼痛研究会」というのは、医師、看護師、レントゲン技師、ソーシャルワーカーなどの医療スタッフで構成される自発的な研究会で、癌末期の疼痛をいかに緩和していこうかという研究会だ。彼らは、生への希望を絶たれたうえに、なおかつ転移などの一方ならぬ痛みに耐えなくてはならない、そんな癌末期の患者さんたちと一緒に、日々闘っている戦士たちである。しかし、どうしても暗くなる。私に落語を依頼された方が、こんなことをおっしゃっていた。
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