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中村好一(著)―保健活動のための調査・研究ガイド―「本当に大事なこと」が楽しくわかる
村嶋 幸代
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1東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻地域看護学分野
pp.384
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662100071
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好著である。調査・研究に本当に必要な事項,事前準備や結果の解釈で考慮しておかなければならない事項,活用の留意点が,キチンと盛り込んである。ソフトな語り口で,難解な数式を用いることなく,しかし,必要な説明や忠告はしっかりと書いてある。保健活動を科学的なものにしたいという著者の「想い」が伝わってくるような本である。随所に著者の思想・哲学が見えてくる。
たとえば,「第1章 調査研究を始める前に」では解くべき課題を明確にすることの重要性を述べるとともに,研究計画書の整備やプライバシーへの配慮のポイントを示してある。「第2章 どんな方法があるのか」では「街に出る前にできること」が解説されている。実際に調査に出かける前にできる限りのことをするのは非常に重要であるにもかかわらず,この点は普段なかなか記述されることが少なく,一読に値する。「第3章 具体的な進め方」における図表の作り方,また,「第4章 集まったデータをどう処理するか」における「いったい何が見えてくるのか」「結果は本当に真実か」,さらに「第5章 報告するにはどうするか」という部分では,本当に大事な点が書かれている。最後に,「付録」として,調査・研究を計画する際のチェックリスト,演習課題と調査票の例が掲載されている。楽しく読みながら,ポイントを学べ,実用にもなる本である。
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