連載 立川らく朝のヘルシートークウラ噺・22
錦鯉(二)
立川 らく朝
1,2
1表参道福澤クリニック
2メディカルサポート研究所
pp.1002-1003
発行日 2003年10月1日
Published Date 2003/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662100190
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今回は糖尿病をテーマにした健康落語「錦鯉」の第二回。ときは江戸時代末期。不動院の住職は、大名に献上する錦鯉の絵を、若き無名の絵師「春翠」に依頼した。春翠は、片方に雌、もう片方に雄の錦鯉が描かれるという一対の屏風を描こうとする。まず片方の雌の錦鯉を描いたところ、これが評判になり、春翠の名は江戸中に知れ渡る。すると投資目的の商人たちは何とか絵を頼もうと競って接待攻撃に出た。毎晩の贅沢三昧。それにつれて春翠の身体はどんどん太っていく。そんな毎日を続けているうちに、今度は身体がどんどん痩せていった。しかも身体がだるく、喉も乾いて仕方がない。ある日春翠は、もう片方の雄の錦鯉を描くべく不動院へ向かったが、手がしびれて絵筆も満足に持てない。いつのまにか絵の描けない身体になっていたのだった。絵が描けなくなった情なさと、誰にも省みられない悔しさから自暴自棄に陥った春翠は、毎日毎日酒に溺れるようになっていた。
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