特集 母子衛生
総説
わが国の母子衛生の歴史
斎藤 文雄
1
1聖路加国際病院小児科
pp.477-481
発行日 1962年9月15日
Published Date 1962/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202553
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I.はじめに
わが国の現在の母子衛生は,たとえとかくの批判はあっても,とにかく過去を通じて最も優秀な状態にあるということは否定できない。もともと母子衛生というものは,世界どこの国でもあまり古い歴史は持っていない。現在わが国より優れた母子衛生を誇る国々でも,それが緒につき始めたのは18世紀の後半からといって過言ではない。その点わが国では19世紀の終りごろから,ぼつぼつ発足しているので,まだ先進国に及ばないのも当然かも知れない。しかし母子衛生などという問題は少しその積りになって努力すれば半世紀や1世紀のおくれを取戻すことは何でもない。これからの日本の母子衛生をいかに発展させていくべきか,その指針を探る意味でも過去の歴史をふりかえってみることも無駄ではなかろう。
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