研究
若年女性の飲酒に関する調査研究―女子大学生の初飲状況とその後の問題飲酒行動との関連
市川 富美子
1
,
村田 敦子
2
,
叶谷 由佳
3
,
高田 絵理子
3
,
佐藤 千史
3
1東京医科歯科大学医学部保健衛生学科
2東京医科歯科大学難治疾患研究所
3東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科
pp.238-242
発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662100024
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■要旨
若年女性の飲酒の課題を明確にすることと今後の対策を考える基礎資料を得ることを目的として,初飲時の状況とその後の飲酒行動との関連について調査を行った。対象は都内K短期大学の1,2年生のうち,20歳以下の女子学生とした。調査日は1999年7月14日で,鈴木らによるAdolescent Alcohol Involvement Scale(AAIS)の日本語訳の他に初飲状況を加えた無記名式の質問用紙を使用して調査を行った。
結果は,回収数174名,回収率84.0%であり,そのうち20歳以下の152例を分析の対象とした。
分析の結果,初飲年齢が13歳以前群は,14歳以後群に比べてAAIS値が有意に高値であった。初飲理由では,「大人ぶりたかった」と「ハイな気分・酔っぱらってみたかった」と答えた群のほうが,「好奇心から」と「親・兄弟の勧め」と「友人の勧め」に比べ,AAIS値が有意に高値であった。
飲酒開始年齢が低くなるほど,飲酒行動の問題は大きくなるといわれているが,本調査でも同様の結果がみられた。また,初飲理由として「大人ぶりたかった」や「ハイな気分・酔っぱらってみたかった」というアルコールの力を借りて自分を変えるという要素が含まれていると問題飲酒となる傾向にあった。最初からすでに,アルコールがあるから自分が変わることができるという意識・願望があると,以後のアルコール摂取時にも,潜在的にその願望を果たそうと,多量のアルコールを摂取してしまうことが示唆され,早期からの保健指導の重要性が示唆された。
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