特集 非言語的コミュニケーション—言葉が使えない患者とのコミュニケーション
分裂病者の緘黙をどのように理解するか
松崎 澄子
1
1長野県立駒ヶ根病院
pp.1252-1256
発行日 1985年11月1日
Published Date 1985/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661923053
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
‘緘黙’という言葉は,古めかしいような精神医学用語であるが,もともと口を閉じてしゃべらないこと,押し黙るという意味であろうか.最近では‘無言’というやさしい言葉も用いられるが,‘緘黙’という言葉は,ただならぬ響きを感じさせる.
精神病院には極端に口数の少ない患者さんたちがいる.私たちが話しかけても,彼らはほとんど答えてくれない.こんな時,私たちは一種の戸惑いと不安を感じる.不安になるから余計に話しかけるのだが,彼らはやはり話に乗ってくれない.このように私たちの接近の多くは‘空振り’に終わることが多い.
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.