特集 回復意欲を失った人々への働きかけ
妄想の中に安住していた患者へのかかわりから
平井 直美
1
,
土田 満代
1
,
西村 衣代
1
1長浜赤十字病院精神科病棟
pp.1122-1125
発行日 1982年10月1日
Published Date 1982/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922866
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私たちが日ごろかかわりを持つ入院患者の中には,何度か再入院を繰り返すうちに,現実の社会での挫折を経験し,自分の置かれた立場から逃避して,病院生活に安住している人たちがいる.
今回取り上げる事例のM子もそんな中の1人である.17歳で発病し,4回の入退院の経過の中で,家事,就労,習い事へと努力を重ねるが,いずれも挫折してしまう.家族は彼女を何もできない子だとあきらめ,支えることができない.M子は架空の‘私はスター,スターになって注目をあびたい’という彼女だけの世界に閉じこもり,非現実的な妄想の中に安住しようとしていた.
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