特集 精神症状に強くなる
耐えきれない苦痛から妄想・幻覚を呈した患者へのかかわり
金丸 みゆき
1
,
山本 伊都子
1
,
石原 真樹
1
,
山口 ひとみ
1
1東京女子医科大学病院
pp.712-716
発行日 2000年8月1日
Published Date 2000/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903523
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はじめに
私たちは,看護実践のなかで侵襲の大きい手術や高齢者の手術後にさまざまな精神症状を起こす患者に出会うことがある.この精神症状は,手術などの侵襲によるホルモン分泌の異常,電解質バランスの崩れ,手術による身体的消耗,高齢者においては脳などの器質的脆弱が原因であることが多く,一過性のため,術後1週間ほどで通常の精神状態に戻ることが多い.
今回,全身性エリテマトーデス(以下,SLEとする)の急性増悪による小腸穿孔,緊急手術にてストマの造設,ステロイド使用による創の離解,連日セデーション下での創処置,家庭の問題など,たび重なる苦痛からの現実逃避により,妄想や幻覚などの症状が強くなった事例を体験した.そして,リエゾンナースのアドバイスを受けながら看護を行なったが,私たちのどのようなかかわりが患者の心に影響し,前向きな言動をはじめとする変化をもたらしたのかについて振り返ってみる.
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