ビバ!ラプラタ アルゼンチンの日系人とともに・2
アルゼンチンの医療
藤原 美幸
1
1帝京大学医学部付属病院
pp.226-228
発行日 1981年2月1日
Published Date 1981/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922723
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掃除で終わった初出勤の日
雨の音が気になって眠れないままの第1夜が明けた.雨はまだ降り続いている。同居の女性が用意してくれたクロワッサンとミルクコーヒーの朝食をとり,アルゼンチンの通貨ペソ(1ドル=約660ペソ)に両替えをしてもらい,エレベーターの壁面いっぱいの大きな鏡で,疲れた表情の自分を発見しながらいよいよ初出勤である.
アパートのある地区は東京なら山の手,そして診療所は下町にあり,バスで約50分位である.‘セテンタ(70ペソ)’と小さな声で言って乗車券を買う.公園と街路樹の多さにホッとしながら,それでも明日からの独り出勤に備えて道順を必死で覚えた.
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