ベッドサイドの看護
四肢拘縮をきたしたヒステリー患者の歩行への援助
母里 定代
1
1島根県立中央病院
pp.810-814
発行日 1977年8月1日
Published Date 1977/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922501
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はじめに
ヒステリーの本質は疾病逃避にあると言われているが,本事例は器質的所見は現れていないが,過去に何らかの心的因子によって歩行が困難となり,それが20年間放置され,現在は廃用性拘縮をきたしてしまったものである.
患者はすべてに拒絶的であるために栄養状態も悪く,自分は元来虚弱であり臥床しているしかないと思いこんで,そこに逃避しているものと考えられた.私たちは体験から歩行が可能ではないかと積極的な働きかけを始めたが,十分な効果が得られないことから,今までの看護場面の再構成をし,看護者自身の自己洞察をするとともに,患者の心理的願望を受容するために看護者との信頼関係づくりに重点をおき,患者が心理的規制の歪みに気付くことによって歩行可能へともってゆきたいと考えた.そこで次のような仮説を立てた.
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