特集 眠れぬ夜のために—患者の不眠を考える
不眠解決のための看護婦の工夫
山田 繁代
1
1兵庫医科大学病院
pp.774-778
発行日 1989年8月1日
Published Date 1989/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922336
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後回しになりかちな不眠への対処
人間にとって眠れないということは大きな苦痛である,まして入院生活を余儀なくされている患者にとって,日々病気と闘いながらの「眠れない,長い夜が辛い」などの訴えは深刻.眠れないことによって,病気の回復を遅延させ,悪化させることにもなりかねない.
不眠の原因には,身体的因子,精神的因子,環境的因子が考えられるが,これらはひとつひとつが原因というより,ほとんどが複雑に絡み合って不眠をもたらしていることが多い.しかも不眠への援助は,患者からの訴えがあって始めて対応されることが多いのである.これは社会の急速な高齢化に伴い,日常生活に援助を要する老齢患者が急増したこと.さらに危機患者が多く,看護婦はこのような患者への対応に手を取られ,眠れない患者への対応が後回しになりがちなことが原因だろう.
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