連載 ケーススタディ[ナースのための心理的アプローチ]・7
「わたしは母親失格なんでしょうか」—〈マタニティーブルー〉に陥ったSさん
春日 武彦
1
,
春日 日登美
2
1日本医科大学付属病院精神神経科
2日本医科大学第1病院
pp.634-637
発行日 1989年7月1日
Published Date 1989/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922305
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Sさんのプロフィール
26歳,主婦.短大卒.2回の自然流産を経験しているが,分娩は今回が初めて.妊娠,分娩と特に問題なく,満期産にて3300gの男児を娩出した.挙児にも問題なし.
夫,舅,姑ともに強く男児を希望していたので,Sさんは「期待に応えられた」と大変な喜びようであった.夫は老舗の紙問屋の若旦那であったので,跡継ぎを嘱望されていたのである.家族関係にことさらトラブルといったものもなく,夫は働き者ではあったが,商売柄いつもSさんのそばに居られる形であった.彼女の両親は父のみが存命で,Sさんの分娩時には仕事の関係で香港から祝電を寄せ,華やかさを添えていた.
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