今月の臨床 産婦人科内科—治療のポイント
妊娠期
20.マタニティブルー
池本 桂子
1
,
高橋 三郎
1
Keiko Ikemoto
1
,
Saburo Takahashi
1
1滋賀医科大学精神医学講座
pp.1082-1083
発行日 1991年9月10日
Published Date 1991/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900555
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出産は女性のライフサイクル中の一大イベントである。待望の子供が生まれると女性は喜びと充実感に満たされる。しかし,一方では身体的に疲労し,今後の育児,家庭のこと,職業を持つ女性であれば,産休,職場への復帰……と多くの心理社会的,精神的問題をかかえていることも現実である。産後3〜7日頃,多くの褥婦が涙もろさ,抑うつを示すことが知られている。この一過性の軽うつ状態は,Hamilton(1962)によって指摘され,Post-partum Blues Syndrome(Yalom I.1968),Maternity Blues(Pitt B.1973)と名付けられた。blueは,複数形のbluesに定冠詞を付けると「憂うつ」,「ふさぎ込み」を意味する。De-pression(うつ病,抑うつ)ではなく,bluesと呼ばれたのは,本格的なうつ病とは異なることを示唆している。
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