研究と報告
癌患者に対する告知の現状—化学療法施行時の患者の病識および闘病意欲の分析
岩垂 まゆみ
1,2
,
沢村 のり子
3
,
尾原 智穂
3
,
井上 征子
4
1信州大学医学部附属病院
2国立がんセンター病院呼吸器内科病棟
3国立がんセンター病院呼吸器内科病棟
4国立がんセンター病院
pp.64-68
発行日 1989年1月1日
Published Date 1989/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922179
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はじめに
新抗癌剤の臨床導入と積極的な化学療法の展開により,進行癌患者に対する化学療法の治療成績が向上しつつある.肺癌においても,標準的化学療法が確立している小細胞癌のみならず,従来,化学療法の有効性が疑問視されてきた非小細胞癌に対しても,確実な抗腫瘍効果が報告されている1)2).
しかし一方では,抗癌剤治療を受けるほとんどの患者は,悪心,嘔吐を主とした消化器症状,脱毛,骨髄抑制などの強い副作用を経験せざるを得ない.また,固型癌に対して最も有効な薬剤であるシスプラチン(CDDP)投与に際しては,消化器症状以外にも,腎機能保護を目的とした長時間にわたる補液は,患者にとって肉体的,精神的に大きな負担となっている.
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