Japanese
English
特集 精神疾患における病識・疾病認識—治療における意義
統合失調症患者における病識と薬物療法
Insight and Pharmacotherapy in Schizophrenia
西 晃
1
,
久保 馨彦
1,2
,
竹内 啓善
1
Akira Nishi
1
,
Kaoruhiko Kubo
1,2
,
Hiroyoshi Takeuchi
1
1慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室
2鶴が丘ガーデンホスピタル
1Department of Neuropsychiatry, Keio University School of Medicine, Tokyo, Japan
2Tsurugaoka Garden Hospital
キーワード:
Antipsychotics
,
Insight
,
Pharmacotherapy
,
Schizophrenia
Keyword:
Antipsychotics
,
Insight
,
Pharmacotherapy
,
Schizophrenia
pp.1403-1411
発行日 2019年12月15日
Published Date 2019/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205952
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抄録 精神障害,特に統合失調症における病識の欠如は,薬物療法を治療の要とする臨床現場で常に直面する問題である。本稿では病識と薬物療法の関連について,①薬物療法が病識に与える影響,②病識が薬物療法に与える影響の双方向から考察した。まず①について,統合失調症患者における病識は抗精神病薬による治療で改善され得ることが近年の研究で示唆されている。一方,病識のどの側面に効果があるかについてはまだ十分に研究されていない。次に②について,病識は服薬アドヒアランスを介して薬物療法に影響を与える。病識が乏しく服薬アドヒアランスが不良な患者に対しては,服薬アドヒアランスの向上を目的とした介入(心理教育的介入,家族に対する集団療法,服薬状況のモニタリングなど)により薬物療法が継続されることが示唆されている。①と②の関係について,服薬アドヒアランスの向上が薬物治療の継続を促進し,その結果,病識のさらなる改善がもたらされ,服薬アドヒアランスが向上するという循環的な構造を想定することができる。今後,より詳細に病識を評価しながら,病識・服薬アドヒアランス・薬物療法の密接な連関を検討するような研究が必要とされる。
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