人と人との結びつきを教えてくれたAさん

　昨日まであった柵が取り外されたホールの窓から，西の空の夕陽がまぶしいばかりに輝いています．この当たり前の夕景色も，私たちにはことさら新鮮な情景として目に映ったのです．日頃周囲の出来事には余り関心のないと思われている人たちも手を叩いています．そんな姿を見ていますと，忙しい業務の中でほっと平和な安らぎを感じずにはいられません．

　私がこの病院に就職して13年．当時190床だった病床は閉鎖が多く，公立病院精神科の経験のある私は驚いたものでした．開院10年目の昭和54年には病床も240床に増床となり，全国的な開放運動の中で，ここでも男・女病棟あわせて80％以上の開放率を占めました．しかし，開放化へ向けての患者さんとの苦労は大変なものでした．