小さな工夫
カテーテルなどに対する「棒結び」の有効性
高岩 正至
1
,
山口 脩
2
1米沢市立病院泌尿器科
2福島県立医科大学泌尿器科
pp.800
発行日 1993年9月20日
Published Date 1993/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901039
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手術創に留置したドレーン用カテーテルを縫合固定する場合に,外科結びを用いて縫合が緩んでしまうような経験は誰もが持っているものであろう。筆者らは,このような時に縫合が緩まないために「棒結び」を用いるようにしている。「棒結び」とは船舶操縦士やヨットマンには馴染み深いロープワークの1つである。図1のとうり,固定しようとする対象物に2重に糸をかけた後,ABどちらの糸端もが1度ずつ棒に巻きついている糸の下を潜ることになる結び方である。図2のとおり.ネラトンカテーテルに2-0絹糸を用いて「棒結び」を施し,糸の両端を牽引すルと,カテーテルはかなり締めつけられ(a,上),牽引を解除後も緩むことは全くなかった(b,c上)。「外科結び」のために糸の両端を牽引すると,「棒結び」程ではないがカテーテルは締めつけられるが(a,下),牽引を解除するとカテーテルの締めつけはほとんどなくなり(b,下),さらに結び目を作った後もカテーテルはほとんど締めつけられていなかった(c,下)。このことより「棒結び」がいかに強い締めつけを可能にするかが理解できるであろう。「棒結び」の上から,さらに通常の結び目を作っておけば緩む心配が全くなく,その糸は少し長さに余裕をもたせた後,皮膚に縫合する。
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