綜説 今後の保健所活動をめぐる諸問題
医療と公衆衛生の結びつきを中心に
塚本 宏
1
1大阪大学医学部公衆衛生学教室(第9回公衆衛生院正規医学科)
pp.382-386
発行日 1959年6月15日
Published Date 1959/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202150
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昭和22年の「新保健所法」以来,10年余の経験をもつ保健所の活動が,今日,1つの転換期に直面していることは,多くの公衆衛生関係者の認めるところであり,保健所のあり方をめぐつて,各方面から活溌な論議がかわされ,一応出つくしたかの感さえあるとも云われている。これらは,その観点或は立場から,次の2つに大別されてよいと思われる。即ち,1つは,保健所のもつ組織,人員,予算,設備,業務などの諸条件を前提として,保健所をいかに効率的に運営していくか,云いかえれば,保健所の管理と能率の問題であり,他は,保健所の現状に立脚しながらも,あくまでそれに捉らわれず,保健所をめぐる社会情勢の動きに即応したあり方を検討し,将来のあるべき姿を求めようとするものである。以下,後者の立場から,とくに2年後に約束されている国民皆保険の完成を大きな背景とする保健所のあり方を考えてみよう。
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