連載 西村かおるの訪問看護留学記—英国編・17
ドキュメント—ロンドン救急現場(?)レポート
pp.512-515
発行日 1988年5月1日
Published Date 1988/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921997
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日本人医師,帰国前日の椿事
ある休日,午前11時.私は,同じYMCAに住む中国系英国人のトニー,その友人のテリー,更に日本から医学留学中のU医師を誘いケンジントンスポーツセンターにバドミントンに出かけた.U医師は翌日,日本に帰ることになっており,「僕まだ荷物が完全にできていないんだけどなあ」とぶつつきつつもアタッシュケースに体操着代わりの寝巻を詰め込み,迎えに行った車に乗り込んできた.
ゲーム前,私と乱打していた彼は「痛てえ.先週のがまだ効いてるや.足がもう痛いよ」と先週のが4年ぶりの運動だという同じメンバーでのバドミントンの後遺症を訴えた.「大丈夫?よく準備運動をした方がいいわよ」と私の親切な忠告を無視して「なあに,大丈夫だよ」と言い切った.彼は学生時代テニスを続けていたとかでテニス型スマッシュを決めるのがなかなかうまい.性格からと思われるが,ゲームを開始すると乱打をしていた時の足の痛みを忘れたかのようにコートを(運動靴を持っていないため)カジュアルな皮靴で走りまわる.その生真面目さは日本の神風を連想させ,トニーたちをびびらせた.事件はダブルス3ゲーム目に起こった.
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