ワードスキャン
DSA—デジタル・サブトラクション・アンギオグラフィ
八代 直文
1
1東京大学医学部附属病院放射線科
pp.24
発行日 1988年1月1日
Published Date 1988/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921891
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最近オーディオ機器や映像関係で「デジタル」という言葉を目にする機会が多くなってきた.「デジタル」とは「数字」の意味である.音や光のような自然界の情報は,例えば色合い,音色,光の強さ,音の大きさなどが連続して変化する性質を持っている.このようなものをアナログ情報と称する.人間の感覚器は本来アナログ情報に対応するような構造になっており,従来の録音や映像記録などはアナログ的に行なわれてきた.すなわち自然にあるがままの形で記録が行なわれてきたのである.ところが,記録を再生することを考えると,アナログ情報では環境のわずかな変化によって情報の劣化が起こりやすい.レコードやテープ録音では,再生してみるとノイズが多いことはよく経験される.そこで登場したのがデジタル的な情報の記録法である.これは,連続して変化する情報を数字の列として記録し,再生時には数値を読み取って元の情報を再現するものである.この方法で記録された情報は保管や再生によって劣化が起こりにくい特徴がある.
DSA(デジタル・サブトラクション・アンギオグラフィ)も,X線透視に用いるテレビ系の信号をデジタル化して記録し,画像処理を行なって表示する装置である.造影剤によって可視化された血管をより見やすくするための画像処理にはいくつかの方法があるが,最も簡単で効果の大きい方法は,血管内に造影剤が注入される前の画像を記録しておいて,これを造影後の画像から差し引いて観察することである.
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