連載 西村かおるの訪問看護留学記—英国編・2
シベリア鉄道で,いよいよイギリスへ
pp.200-203
発行日 1987年2月1日
Published Date 1987/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921649
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旅は道づれ
北京から,ソ連のイルクーツクへの列車は,2日半かけてゴビ砂漠を越え,落葉松の芽吹くタイガを通り抜け,そしてバイカル湖のほとりを巡る旅だ.その旅が楽しいかどうかは生活空間となる狭いコンパートメントのメンバーによるところが大きい.期待して待っていたメンバーはオーストラリアの母娘と伯母の3人組みだった.私はその3人をホテルでみかけた時,あまりに3人とも太っていたためびっくりしてよく覚えていた.日本ではめったにお目にかかれないサイズなのだ.コンパートは3人で息もつまりそうな狭さなのに,その上,大きな荷物が6個以上もあって圧倒されてしまった.
自己紹介の時,私は看護婦で看護の勉強のためにイギリスに行くところだ,と告げたところ偶然にも母娘とも看護婦だという.娘はイギリスの病院で働いたこともあるという.うれしくなって,色々話を聞こうと身を乗り出したとたん23歳の娘に「看護の話はしないで!これは私の休暇なんだから仕事の話はウーンザリ」と先制攻撃をくらってしまった.わかるような気もするけど…….
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