連載 21世紀の主役たち・7
極東シベリアの子どもたち(極東シベリア・インチョウン村)
関野 吉晴
1
1武蔵野美術大学
pp.741
発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100663
- 有料閲覧
- 文献概要
11月になると,北極海に面したインチョウン村には流氷が押し寄せてくる.海岸でコロニーを形成していたセイウチも氷を伝わって沖へと移動していく.流氷が着岸すると子どもたちの格好の遊び場となる.巨大な流氷の上によじ登り,這い上がる.その後また飛び降りる.強い波が来ると再び流氷を沖に連れ戻してしまうこともある.子どもたちをさらってしまうのではないかと思うほどの大きな波もやってくる.寒空の中,自分たちの身の周りのあるものをフルに利用して遊ぶ子どもたちはとても楽しそうだ.大人たちも少々危険だとわかっていても叱ることはない.年長の子たちがどこまでが危険なのかわかっている.
都会の子どもたちはテレビゲーム等のエンターテインメント機械やおもちゃがないと遊べなくなっている.ここではそんなものがなくても,自分たちの創意工夫で十分遊べる.かえってそのほうが面白い.自分ひとりの世界に閉じこもることがない.様々な年齢の子どもたちと遊ぶことによって,社会性が身についていく.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.