車椅子訪問記・3
‘お刺身’ルポルタージュ—いよいよ施設へ
箙 田鶴子
1
1世界身体障害芸術家協会
pp.718-723
発行日 1977年7月1日
Published Date 1977/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918195
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朝8時,今日は施設へ直行ということで,食後トイレを済ませておく.6日間中,日にトイレ3回行ったのは1日だけ,結局5日間は1日に朝晩2回のトイレで済ませたわけだが,そのためには相当自分でコントロールした.小柄な私は普段でも大食の方ではないが,朝晩私宅では必ず飲むカップ2,3杯のコーヒーか紅茶を,上京中は出されてもせいぜい半杯飲む程度,下着は3枚はき,厚顔と見えようと前夜に水をもらい,うがいを済ませて早朝から水に触れる冷えを防いだ.この理由には忙しい共働きの夫人の手を煩わさない気配りも内心含めていた.
今回の最初の訪問先は県立S園.重度身障者の施設.詳しくはA氏も道を知らないとみえ,折に尋ねながら相当キロ数を走る.疲れかけたころ道路標識に‘S園入口’の文字と矢印.この種の施設としては比較的町から近い方か.全館平屋建て.まず広い方ではあろう.
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