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病歴
患者:72歳、女性
主訴:胸のつかえ感
現病歴:かかりつけ医よりソリフェナシン(過活動膀胱用抗コリン薬)、ビルダグリプチン(直近のHbA1cは6.2%)、バルサルタン+ヒドロクロロチアジド、ロスバスタチンを処方されていた72歳の専業主婦。4カ月前に退職してからずっと家にいる夫が高圧的でストレスが強かったため、3週間前より長女宅に避難している。飲酒・喫煙歴はなく、アレルギーはない。
約3カ月前から緩徐発症の胸骨下詰まり感(嚥下しづらい感じ)があり、2カ月前にかかりつけ病院で上部消化管内視鏡検査(EGD)を受けたが異常なしと言われ、プロトンポンプ阻害薬(PPI)、胃粘膜保護薬・消化酵素製剤が追加された。自身は食道癌が心配で、4日前に近くの大病院でPET-CT検査(結果は後日聞く予定)を自費で受けた後より、唾が飲み込みづらいとのことで、3日前に救急車で当院救急外来を受診。血圧が高め以外にバイタルサインは正常で、心電図・胸部X線写真共に正常であったため、無治療で総合内科外来での評価を勧められた。食欲はあるが、嚥下時の不快感が強いため満足に食べられず、58 kgあった体重が4カ月で51 kgまで減少した(身長は145 cm)。便通は変わらず。
症状の詳細:嚥下はむせや咳を誘発せず、胸のつかえは嚥下後何秒か遅れて起こる。「焼けるような」とか「しみるような」ではなく、「締め付けるような」感じで、酸が上がってくる感じはない。食餌と関係のない時間帯にも「石が入っているような」不快感があり、体位とは関係ない。液体でも固形物でも起こり、胸のつかえの起こりやすさに食べ物や飲み物の種類は関係ない。嘔吐はきたさないが、つかえると唾液も飲み込めなくなるので吐き出したくなる。
陰性ROS:悪寒・発熱、頭痛、眼・耳・鼻症状、咽頭痛・嚥下痛、咳・痰、呼吸困難、胸膜性胸痛、背部痛、心窩部痛、季肋部痛、下腹部痛、腹満、便通変化、排尿変化、帯下、関節痛・筋肉痛、皮膚病変、Raynaud症状、筋力低下、感覚障害
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