学生の広場
安楽への援助で見落としていた疾病に対する患者の不安
上田 和美
1
,
金子 智寿美
1
,
末広 由美子
1
,
廣中 恭子
1
,
松尾 綾
1
,
柳原 恵子
1
1国立岩国病院付属看護学校
pp.1270-1276
発行日 1986年11月1日
Published Date 1986/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921567
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
私たちは外科病棟で,‘かゆい,かゆい’と言い,全身に多くの掻き傷のある患者に出会った.その患者は直腸癌肝臓転移による黄疸の発現,強度の掻痒感のため,不眠に悩まされていた.そこで私たちはこの患者に対して掻痒感の緩和を目標に援助していった。しかし,その後の病態の悪化に伴い,患者は自分の疾病について不安を抱き始め,私たちの掻痒感の緩和への援助は,精神的に不安定な患者の感情をかえって刺激することになってしまった.私たちが患者と接していく中で,‘患者の立場に立った看護の展開,また,ナイチンゲールの“看護覚え書”にある‘患者をとりまくありとあらゆる環境を適切に保ち,患者の生命力の消耗を最小にするよう整えること’という基本的な看護姿勢について学んだので報告する.
Copyright © 1986, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.