連載 援助場面からまなぶ家族看護学・4
退院時の家族の不安への援助
渡辺 裕子
1
,
鈴木 和子
1
1千葉大学看護学部家族看護学講座
pp.970-973
発行日 1995年10月1日
Published Date 1995/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904915
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患者の病が癒え,別れていた家族員がいっしょに暮らせる「退院」は,本来は家族にとってとても喜ばしいできごとです.しかし,患者が介護を要する状態で自宅に戻る場合には,決して喜ばしい側面ばかりではありません.ときとして家族は,「連れて帰ると病気がわるくなるのではないだろうか」「うまく世話ができるだろうか」「ほかの家族は協力してくれるだろうか」,あるいは「ほかの家族に迷惑がかかるようなことはないだろうか」「自分の身体は大丈夫だろうか」「仕事は続けられるだろうか」など,数えきれないほど多くの不安をいだいているものです.
しかし,いったん退院が決まってしまうと,個々の家族の不安に耳を傾けることよりも一通りの介護技術指導に追われてしまうというのが現実ではないでしょうか.在宅での介護技術を指導されたからといって,もちろん介護にかかわる不安がすべて解決されるというわけではありません.むしろ,家族の在宅介護に対する心の準備が整わないうちに,看護職の必要性から指導を急ぐことによって,家族に「病院から追い出される」という気持ちをいだかせることさえあるのです.
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