連載 高齢化社会の福祉と医療を考える・1
高齢化社会をどう考えるか
木下 康仁
1
1立教大学社会学部
pp.1054-1057
発行日 1986年9月1日
Published Date 1986/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921521
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高齢化社会という言葉は今では手垢にまみれてしまい,この言葉がかつて持っていた新鮮な響きは失われてしまったようである.もはや高齢化段階は通過したのだから,これからは高齢社会と呼ぶべきだと言ってみたところで同じである.こうしたことは,何も高齢化社会という言葉に限られたことではなく,現代社会ではあらゆる言葉が同じ運命をたどっていく.
新しい社会現象は,新しい言葉を求める.それが一体何であるのか,私たちが生きていく上にいかなる意味を持つのかを問うていけば,私たちの認識作業は必然的に新しい言葉を必要とするはずである.そして,こうして獲得された新しい言葉は問題となる社会現象にどう取り組むべきかを私たちに示してくれるはずである子なぜなら,この言葉には私たちの思想が込められているからである.
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