特集 口から食べたい—経口摂取への援助
食べることは生きること—仮性球麻痺により重度の嚥下障害を来したI氏の経口摂取を目指した援助
雨宮 久子
1
,
長田 純子
1
,
上川 真由美
1
1山梨勤労者医療協会石和リハビリテーション病院
pp.646-650
発行日 1986年6月1日
Published Date 1986/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921432
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はじめに
‘ただいまは食事もほとんど普通食になり,家の中のことや家の周りの片づけ仕事までコツコツやるようになりました’──退院間もないI氏の奥さんから病棟へ一通の便りが届いた.I氏は脳血管障害の再発により仮性球麻痺が生じ,構音障害とともに重度の嚥下障害を来した患者である.当初,プリンなどの半固型物もとれなかったI氏は,入院から3か月,自力できざみ食がとれるようになって退院した.
私たち看護婦は‘なんとか口から食べられるように’というI氏の意欲を支え,‘自力での経口摂取’をめざして,食事内容,摂取時の姿勢などの模索を繰り返した.この間の看護援助の経過を振り返り,I氏にみた経口摂取の意義,看護者の役割を考えてみたい.
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