特別論稿
看護する者の「老い」へのまなざし—O氏への援助を通して老人看護を考える
岡部 恵子
1
1日本看護協会卒後教育部
pp.1156-1163
発行日 1984年10月1日
Published Date 1984/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661920902
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はじめに
助産婦である私は,当然のことながら15年余を母性看護に携わってきた.生命誕生の場にも様々の苦しみはあったが,看護者として考えてみると,‘死’や‘老い’の場で仕事をしていないことに,ある種の不安を抱いていた.‘死’や‘老い’の意義を知ってこそ,誕生の場で‘生’をより大切にしていけるのではないかと考えていたのである.そしてそんな時,日本看護協会の看護研修学校に学び,臨床実習で老人を看護する機会を得た.この実習で私は1人の老人から多くの学びを得た.特に,生と死の関係と老いの価値について考えることができた.
そして,私はこの老人の看護を通して,人間として,看護者として学んだことを今後の看護に生かしてゆかなければならないと考え,自身の看護を振り返り,老人看護の視点を提示してみたい.
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