特集2 患者になって分かったケアの本質
患者のまなざしで"看護"を捉える
前川 幸子
1,2
1横浜国立大学大学院教育学研究科
2元:三井記念病院高等看護学院
pp.855-859
発行日 1999年11月10日
Published Date 1999/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900926
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はじめに
「発作は,いなずまのようにあらわれ,絶滅感,死に対する不安,暗闇へしずんでいくような体験をともなう」ブリュッゲ1)
私と病いとの出会いは,これまで経験したことのない下腹部の激痛から始まった.拭いても拭いても滲み出る額の汗と,手足が冷たくなる感覚.制御しがたい痛みは,私の身体に異変が生じたことを告げていた.やっとの思いで救急隊に電話をし,救急車の車中の人となった私は,サイレンの音をおぼろげに聞きながら病院に運ばれた.そして私は,「患者」になったのだった.
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