連載 作業療法を深める ⑨考古学
縄文時代の「老い」・「老人」
山田 康弘
1
Yasuhiro Yamada
1
1国立歴史民俗博物館
pp.590-593
発行日 2017年7月15日
Published Date 2017/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200955
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はじめに
ニュースや新聞等に取り上げられる機会が多いので,読者の皆さんも考古学という学問の名前や,遺跡といった語は聞いたことがあるだろう.考古学とは,「人が残した物質的資料(モノ)を基にして,人の歴史を読み解く学問」である.人が残したモノのうち,墓や住居跡等の不動産を遺構,土器や石器等,持ち運びできる動産のことを遺物と呼ぶ.そして,これらが存在する場所を遺跡という.しかしながら,遺構や遺物から直接的に,人の「老い」(加齢)について語ることは難しい.そこで,遺跡から出土した人骨を基にして,さまざまな研究を行う自然人類学の研究成果を援用することにしたい.
以下,考古学と人類学の観点から,筆者が主たる研究対象としてきた縄文時代の事例を中心に,「老い」と「老人」について考えてみよう.
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